男性のみにあるクルミ大の臓器で、膀胱の出口にあって尿道をとりまく形で存在する。
精液の一部となる前立腺液を分泌し、これは精子を栄養・保護する働きをしている。
男性ホルモンの影響を受けて思春期になると急激に体積が大きくなり始める(外腺部)。
50歳を過ぎると肥大結節(内腺部)が大きくなり(前立腺肥大症)、いろいろな排尿症状をもたらす。このような変化は加齢現象の一つと考えられる。
肥大症は前立腺内腺が大きくなる良性腫瘍であるが、癌は外腺から発生する悪性腫瘍で、両者が同時に存在することもある。
前立腺は男性ホルモンの影響で活発に活動するが、癌も男性ホルモンによって増大する。
PSAは、前立腺から分泌される蛋白分解酵素で、腫瘍マーカーとして用いられている。
基準値は4.0ng/ml以下であるが、いろいろな刺激が測定値に影響を与える。(炎症、圧迫、射精、大きな肥大など)。
高値になれば癌の頻度が高くなるが、4.1-10.0ng/mlでは10-25%位の癌有病率が報告されている。時間とともに徐々に測定値が上昇する場合は精密検査を受けたほうがよい。癌の確定は針生検で癌細胞を証明することによる。
腎結石のほとんどはシュウ酸(蓚酸)カルシウム、リン酸カルシウムまたは尿酸からできていますが、その存在する場所によって腎結石、尿管結石、膀胱結石と呼ばれます。
通常 結石が尿管にはまり込んでけいれんを起こすことによって激しい痛み(疝痛発作)や血尿が出て診断されます。
4mm以下の小結石は尿とともに自然排石することが多いですが サイズが大きくなるにしたがって砕石治療が必要になります。現在は 体外衝撃波結石破砕によって手術なしに治療が可能ですが、約15%の患者さんは内視鏡手術が必要になります。
腎結石には再発がみられますので再発予防のための食生活も重要です。
腎結石の再発予防のためには次のようなことが大事です。
1)水分摂取: 水分不足、暑い気候、高温度下での仕事など慢性的な脱水症状で腎結石は好発します。1日の尿量が2リットル以上では結石形成のリスクは低下し、1リットル以下では増加するとされています。
2)食生活の注意点: 結石患者さんの食生活は夕食中心型が多い。夕食から就寝までの時間が短いと睡眠中に夕食で摂ったものの尿中排泄が多くなり、また夜間の脱水が加わり結石リスクが大きくなる。夕食から就寝まで4時間を目安に時間をとり、しっかり水分を摂ることが大事である。
3)カルシウム: 日本人のカルシウム摂取量は少ないとされ、1日600-800mgが至適量である。カルシウムは食事中のシュウ酸と結合し結石形成のリスクは低下する。
4)たんぱく質: 肉類の多量摂取は体を酸性化し、尿中クエン酸が減少し結石ができやすくなり、また動物性たんぱくに含まれるプリン体は尿酸結石の原因となる。
5)脂肪: 脂肪を摂りすぎると脂肪酸とカルシウムが結合し その結果遊離のシュウ酸が増えて結石のリスクが高まる。
6)シュウ酸: ほうれん草、紅茶、チョコレートなどに多く含まれ 多量摂取は避けるのがよい。
1)急性膀胱炎;こんな症状がみられたら膀胱炎が疑われます。
・排尿時に痛みがある
・トイレに行く回数が増えた(頻尿)
・残尿感がある
・尿がにごる
・尿に血が混じる
膀胱炎は、尿道から膀胱に侵入した細菌によって、膀胱の粘膜に炎症が起こる病気です。女性の尿道は男性に比べて短く、尿道の出口が肛門や膣に近いため女性がかかりやすい病気です。
抗菌剤による治療で、多くの場合数日で治ります。水分を充分飲む、排尿を我慢しない、陰部を清潔にする(入浴は可能)、過労を避けるなどがポイントです。
2)急性腎孟腎炎;細菌感染が腎臓まで及ぶと、高熱、悪寒、腎臓部の痛み(腰背痛)などがみられ、より重症です。場合よっては入院治療が必要になります。
3)急性前立腺炎;男性で、排尿痛とともに高熱がみられると細菌性前立腺炎が考えられます。症状は数日続くことが多く強力な抗菌剤による治療と安静が必要になります。
前立腺がんは50歳以降から増え始めます。前立腺の代表的な病気である前立腺肥大症と区別する必要があります。
PSA検査は前立腺がんの疑いのある人を見つけるための検査です。PSA値が高いからといって必ず前立腺がんというわけではありません。疑いのある場合はさらに詳しい検査をして確定診断をすることになります。
前立腺がんの治療には手術療法、放射線療法、ホルモン療法などがあります。患者さんの年齢や体力に応じて治療方法を選択します。近年、前立腺がんが増えていますが、転移のない早期がんであれば生存率も高く、予後は良好です。
膀胱は尿をためて排泄するための袋状の臓器です。この内面を覆っている粘膜から癌が発生します。多くの場合、早い段階から血尿がでます。それも、痛みもなく、見た目にわかるような高度の血尿(肉眼的血尿)が特徴です。また頻尿や排尿痛のような膀胱炎に似た症状がみられることもあります。もし、このような血尿があれば必ず検査が必要です。早期に発見された表在性癌であれば内視鏡を使って癌を切除することが出来ますが、進行がんでは膀胱を全部摘出しなければなりません。
腎臓は左右一つずつある臓器です。血液をろ過して尿を作っています。腎臓にがんが発生すると、早期がんで多くは無症状ですが、進行がんになると血尿や背中の痛みが出てきます。
腎臓がんは、抗がん剤や放射線が効かないがんなので、早期に発見して手術で摘出するのが最良の治療方法です。早期がんの発見には、超音波検査などの画像検査が重要です。転移がなく、4cm以下の場合、治癒が期待できます。健康診断や人間ドッグなどで定期的な腎臓のチェックが大切です。