性行為(オーラルセックスを含む)を通じて起こる感染です。
1)性器クラミジア感染症: クラミジアトラコマティスによる感染で、世界的にみて最も多い性感染症です。男性では尿道炎、女性では子宮頚管炎を起こします。尿道分泌液や尿道痛、不快感などがみられるが、女性では症状に乏しく自覚しないことが多く進行すると卵管炎や腹膜炎を起こし不妊症の原因になりうる。パートナーも同時に治療することが重要である。
2)淋菌感染症: 淋菌の接触感染によって起こり、排尿痛や尿道からの排膿をみる。
抗生剤の効かない耐性菌が増加しており薬剤の選択が重要である。パートナーの治療は必須である。
3)性器ヘルペスウイルス感染症: 単純ヘルペスウイルス1型または2型の接触感染によって起こる。最初に外性器にかゆみや違和感を伴う水疱が出現し、やがてそれらが破れて痛みのある潰瘍となり、発病後7日目頃に最も重症となる。激しい痛み、発熱、倦怠感、そけい部リンパ節腫大などを伴う。ウイルスは消失することはなく、神経節に潜伏し、ストレスや免疫力の低下を契機に再発する。抗ウイルス薬の点滴、内服、軟膏などで症状を緩和する。
4)梅毒: 梅毒スピロヘータの接触感染による。感染後約3週間で感染部位に硬結や潰瘍がみられる(第1期)。トレポネーマが全身に拡がって皮膚、粘膜の発疹(バラ疹)、発熱、リンパ節腫大が現れる(第2期)。ペニシリンが第1選択薬である。
5)尖圭コンジローマ: ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の接触感染による。外陰部や肛門周囲に乳頭状、イボ状の腫瘍がみられる。HPVの別型には子宮頸がんを発症させるものがある。